不動産会社の担当者が知っておくべきO2O戦略
不動産業界 14,875 views
1.最近話題の「O2O」とは
「あっ、Mさん!未来不動産のMさんだよね?」
Mは営業を終え会社に帰る途中、後ろから声をかけられた。
「あっ、K社長、先日はどうもお世話になりました」
「やっぱりMさんだった。ほんとこんな場所で会うなんて偶然だね。」
K社長は3人程度でやってる不動産仲介会社の代表で、MがWEBサイト制作の案件を初受注してきた顧客だ。
「本当ですね、こんな人通りの多い交差点でよくわかりましたよね」
「あはは、だってMさんさっき道でつまずいたでしょ?結構目立ってたよ」
「あっ、ばれてたんですか?(笑)」
Mは自分では意識していなかったが、隠し切れなかったことに赤面した。
「せっかくだから、ちょっと近くで一服しない?相談したいこともあるし」
「あっ、僕も今日の訪問予定も終わりましたし問題ないですよ」
二人は近くのルノアールに入り、フロアの一番奥にある緑のビロードのソファに腰掛けた。
「Mさんも、ブレンドでいいよね?」
「あっ、はい。ありがとうございます」
まわりを見渡すと喫煙客が多く、なにか昔懐かしいゆったりとした雰囲気だった。
「ふぅー最近Mさんに電話しようと思っててさ、今日偶然会えてちょうど良かったよ」
K社長は煙草をふかしながら、おもむろに話し始めた。
「それでね、最近O2Oって言葉よく聞くでしょ?自分もよく理解できてないんだけど、新しい手法をどんどん取り入れたいと思っていてさ。まあうちの営業はLINEもよく知らない連中だから、まずそこからなんだけどね」
「O2Oですか、最近良く聞く言葉ですよね」
O2Oとは「Online to Offline」の略称で、ユーザーをネット(オンライン)から実店舗(オフライン)に誘導するプロモーション手法・施策のことである。
「そう言えば、こないだ先輩と飲みに行ったんですけど、きっかけがお店の割引クーポンだったんですね。しかも雨なのにお客さんが多いと思ったら、雨で来店が鈍る日にクーポンの割引率を高くしてたんですよ」
「なるほどね。それで来店を促すってことだよね。うちは営業がマッチングメールで来店につなげたことはあったけど」
「それもそうなんですが、O2Oを実現させるにはソーシャルメディアの連携だったりホームページのスマホ化なんです」
近年はスマートフォンユーザーの急速な伸びで普及率は40%以上になり、FacebookやTwitterといったソーシャルメディアの登場で、チャネル(オンライン)→コンバージョン(オフライン)のビジネスモデルが主流になりつつある。
スマートフォンが発売され間もない2005年頃は、まだスマートフォンサイト制作やアプリ開発が主流だったのが、今では各社が知識やノウハウを蓄積していき、スマートフォンを使ったマーケティングで売上アップにつなげることに成功した事例も多い。
「まずはアクセスしてもらうための道路整備ってことか」
「御社でまず始めてほしいのはスマホ対応です。うちで制作させてもらったサイトなので比較的すぐにできます」
「それはすぐやりたいね」
「結局O2Oって、いかにお客さんの興味を喚起して来店させるかなんですが、最終的には購入まで結びつけるプロセスが大事なんですよ」
O2O戦略は、過去に説明した戦略思考AARRRモデルの第一フェーズ「Acquisition=ユーザー獲得」のための手段の一つとして、活かすことができるのだ。
2.不動産会社がO2O実現のために必要なこと
不動産会社がO2O実現のために必要な環境としては、以下の2つが挙げられます。
・FacebookやTwitterといったソーシャルメディアの連携
・WEBサイトのスマホ対応(レスポンシブデザイン or モバイルフレンドリー)
「K社長!来店へ促すプロモーション施策で考えられるのが、来店してもらえるような魅力的なサービスを提供することです」
「でも具体的にどんなサービスがいいと思う?」
「例えばお客様が家族連れの場合、来店の際にクーポンを提示すれば子供が喜ぶプレゼントがもらえたり、帰りのデパートの買い物で使える商品券とかポイントなどが貰えたら嬉しいですよね?」
「でもそれって賃貸でしょ?」
「いえ、売買でも未来不動産で今考えてるのが、例えば仲介手数料を10%オフにするサービスをクーポン化することなんです」
「なるほどね、それはいいアイデアだね」K社長は大きくうなずいた。
「それ以外にも将来可能になりそうなのが、ユーザーが当該店舗の近くを通った際にクーポンを提供するサービスです。もし意識していないユーザーに、クーポン情報を提供して来店を促進できるって凄いことだと思いませんか?」
「もしそんなことが可能になれば、凄いね」
「ぜひ一緒に頑張りましょう!」
ここまでO2Oはユーザーをネット(オンライン)から実店舗(オフライン)に誘導するプロモーション手法・施策であると説明した。
しかしO2Oは1回の来店のための施策ではなく、その来店をきっかけにいかにその店舗やブランド、営業マンのファンになってもらうか。
そういった顧客化を促進し、顧客の生涯価値を高めるための囲い込みが重要なのだ。
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